大人になってもイマジナリーフレンド
映画「高台家の人々」

高台家の人々、

なんていうタイトルなので、
なんだろうな?と思って
つい見てしまいました。

コミックや他のものは見ていないので
あくまで映画をみた観点で、
心理カウンセラーとして
ゆるく分析してみます。

映画「高台家の人々」を分析

人の心を読むテレパシーを持つ
イケメン兄弟の兄に見初められる、
妄想癖のある口下手OL。

彼女の妄想は、

心を読める彼の癒しになり、
やがてはプロポーズ、
すごい玉の輿に!

と、いう女子の願望を
確実に物語にしてくれる(笑)
シンデレラストーリー?!

ちょっと意地悪だけど、
女性がハマるポイントをあげてみよう。

これは私がカウンセリングの
個人面談をしていていつも感じる
「イマドキ恋愛観」と
とてもリンクしています。

1.口下手で目立たないOLでも、
 御曹司が好きって言ってくれる。

イマドキの女子は、とにかく疲れている。
仕事も恋愛もなぜかクタクタ。
自分から好きな人に向かって
ガーっと愛を語るのではなく、
やはり受け身でいても恋愛が成就していく、
そんな感じが癒される。

2.平凡な事務員からの玉の輿

私のように、
自由に仕事や環境を選べる人と違い、
大きな会社というのはそこで一つの
「コミュニティー」を形成している。

つまり「噂」とか「周りの評価」という
ものの中で生きていく。

そこでの価値観は
「人から評価される」

つまり、

出世する男性の恋人であるとか
玉の輿であることで
周りに評価される必要がある。

そして、その息苦しさから脱出できる
最大のシンデレラストーリーが

「玉の輿結婚退職」

いまだに、そんな価値観が
どすん!と存在していることを、
この映画を見て感じました。

主人公が性格がいいので
いやらしくは感じませんが、
その「願望」も含めてこの物語は
少女漫画の王道。

3.話さなくても理解してくれる
 最高のパートナー!!

一番の人気はこれではないでしょうか?
個性的で、妄想癖で、
そんな冴えない私を
「可愛い、性格良くて癒される!」
と言ってくれる人がいる!
しかもイケメンで金持ち!(笑)

言葉でうまく伝えられない。
私のことを誰もわかってくれない。

そんな孤独感を誰もが持って
生きている中で、
話さなくてもわかってくれる人がいたら、
どれだけ嬉しいでしょう。

だけど、この物語では、
「心を読まれること」の苦しさから、
関係がギクシャクしてしまいます。

彼女には、妄想を助けてくれる
「イマジナリーフレンド」
あるわけですが、妄想癖の強い彼女は、
大人になってもイマジナリーフレンドが
妄想の中でずっと存在しています。

妄想って、大人になっても
しんどいことから逃げ込める
大切な心の安全地帯だと私も思います。

私もイマジナリーフレンドはいませんが、
癌の病状がキツイときには、
コミック読んで登場人物たちの
世界に浸かります。

しんどい時には、
しばし健全な楽しい妄想は
必要なんですよね。

心を読む=分析力

あと「人の心を読む」という
高台家の能力ですが
これって心理の分析の力にも似ています。

これは、

「クライエント観察技法」

と言われる心理カウンセラーの
分析によって、ある程度は、
その人が考えている事や
心理的緊張感などを
読み解く事ができます。
そのせいでしょうか?

よく私も

「浮世さんと目が合うと
 心が読まれるんですか?」

と不審がられたり、

「怖いです」

と警戒されたりするのですが、
そんな時はなんとも言えず
嫌な気持ちになりますね。私も(笑)

だけど、誰だって
相手にしっかりと興味を示して
見ていくとある程度相手の事は
わかるわけです。

赤ちゃんを育てているお母さんは
赤ちゃんが泣いたり、
オシメを変えるタイミングが
わかるのと同じです。

恋愛カウンセリングの面談で
私がいつも伝えている事…

自分の事にとらわれ過ぎず、
相手の事に深く興味があれば、
相手の事は理解できる。

高台家の人々…ここでは、
むしろ自分の妄想から飛び出した
女性主人公が、相手の男性に興味を持ち、
一緒に心を育んで欲しいと思いました。

「自分のことをわかって欲しい」と思うなら、

まず、相手に興味を持ちましょう。

「自分のプライベートを尊重して欲しい」

と思うなら、

ちゃんと
「今日は一人でいたいけど、
心配しないでね。あなたのことは大好き」
と自分の気持ちを伝えましょう。

妄想は自分の心を守ってくれるけれど、
コミュニケーションは時に
自分を悩ませたりするけれど、
両方求めるのが人間。
両方で満たされるのも人間。

人間って楽しいなぁ…と思えたら
この作品は奥が深いと思いました。