昨日に引き続き、選手を元気にする
『 応援の言葉 』
についてお話ししますね。

あなたの周りにこんな人はいませんか?

とてもとても熱心に
『罵声を浴びせて』
応援している人。

うちの父の場合
〜子どもに影響を与えた応援のしかた〜

うちの父は無趣味な人で、唯一の
趣味といえば野球観戦。
地元関西の球団をこよなく愛していました。

普段は仙人みたいに怒りを表すこともなく、
子どもの頃もあまり叱られたことのない
穏やかな父でしたが、夜6時くらいから
始まる野球の試合では別人のように、
しかめ面をして罵声を浴びせ続けるのです。

誰に、って?
テレビに向かって (笑)

下手くそ!やめてまえ!どアホ!

これはまだ序の口。
三振とられると

なんで打たれへんねん!ボケ!

ピッチャーがヒットを打たれると

お前なんかプロちゃうわ!
ピッチャーやめえ!アホンダラ!

まあ、品がないのは下町のご愛嬌、
仕方ないとして(笑)

子供ごころに、その応援の仕方は
全く理解できないモノでした。

その球団は、とても人気はあるけど、
強くない時も多かったので、私の
記憶の中の父は、いつも選手に向かって
怒り罵声を浴びせているファンの姿。

そんなに怒るのなら、観るのやめれば?

とうんざりした母の声。その通り!
と、頷く子供たち。

家族の応援を得られない父の苛立ちは、
マックスになり、ついに

もう、観るのやめや!

とテレビを切る。
良かった…ホッ。

じゃ、アニメ見ようっと、、

と、子どもたちがチャンネル変えて
違う番組を観ようとすると、

こらこら、お父さん、
 大事な試合観てるのに、何すんねん。

子どもは早よ風呂入れ!

と、横暴な言葉。

ビデオデッキもネット再放送もない
懐かしい時代のお話です。

そして、ゲームもスマホもなく、今ほど
子どもが、王様扱いされてない古き良き時代。

下町の家庭で繰り広げられていたテレビの
チャンネル争いの懐かしい風景です。

優しくて大好きな父の豹変する姿を見て、
私と弟はどんな大人に育っていったと
思います?

思春期になった私はアニメやコミックの
影響で野球が好きになりました。

水島新司のコミックをたくさん買い、
高校では野球部のマネージャーになるくらい
野球好きに。

だけど好きになった球団は、父のアンチ
だった東京の球団。

大人になったら後楽園球場に観戦に行くのが
夢だ!と小学校の作文に書いたほどでした。

弟はもっとひどくて、野球には全く興味が
なくなってしまい、スポーツ観戦も全く好き
ではなくなりました。

もし、父がこんな応援だったら?

つまり、父の愛してやまなかった関西の
球団は、本当に残念なことに、子供たちに
愛されなかったのでした。

ファンを増やして、チームを応援するとする
ならば、まずは、楽しそうに応援しましょう。
自分も他の人も楽しめる声援を送りましょう。

もし、子供の頃、父が選手に心から
リスペクトを込めて、応援の言葉を投げて
いたら子供たちはどうだったろう。

この選手はな、すごいんやで。

今はスランプやけど、絶対ここ一番でうちよるからな。

この監督はな、苦労人やねん。

だからお父さんは、どんだけ連敗続いても、ずっと応援してんねん。

きっと父は、本当にその球団も選手も
愛していたと思います。

だからそんな風に言ってくれたら私たちも
きっと、選手も球団も大好きになっていた。

父と共通の話題を持ちたくて、
父と一緒に必死で、選手を応援しただろう。

「これも愛情じゃ!」

と父は思っていたに違いないのです。
愛があるゆえに熱くなるのだと。
だけど、ちがう。

例えばこんな男性いますよね?
浮気もしてない奥さんにやきもち焼いて、
暴力ふるうひと。

「それは愛しているから!」

と言われても、

いやいやそれはあかんよ!
暴力はだめ!

と思うでしょう?

あなたのことを愛しているの。
一生別れるつもりはないわ。

と思いながら、夫にむかって
バカだの、ロクデナシだのと毎晩
罵り続ける妻の姿

それもやっぱりあかんでしょう。

好きでも暴力はダメです。絶対!
そこにはダメな理由なんかない。
誰も幸せになれない言葉は絶対に
ダメなんです。

言葉の暴力はダメ。

人を傷つける言葉はダメです。

叱咤激励がプラスになるケースとは?

監督やコーチ、または職場で
上司が部下の成長を願って叱咤激励するのは
まだ許せます。

なぜなら、そこにはもともとの信頼関係と、
成長すること前提の『結果への約束』が
あるからです。

選手は成長しなきゃ、解雇されるし、
解雇されてチームが低迷したら指導者だって
クビになる。

みんなが結果に責任もって人生かけている
から、強い言葉で背中を押すこともありだと
は思うわけです。

わしかって、応援に命かけてるで!

と、かつての父。

でも、監督変わっても選手がトレードしても
別にお父さんの給料減らないよね(笑)
そもそも、球場でどこの誰ともわからない
人に

しっかりボール見て打てよ

とヤジとばされても、その選手打てるように
なんかならないもん。

もちろん、選手にハッパをかけるために、
熱いブーイングは時には許されると思います。
三振しても、ニコニコ笑ってるファンなんて
いませんからね。

でもファンの気持ちに応えたいと誰よりも
落ち込んでいるのは選手なんだと
思いませんか?

ファンのがっかりしたため息も、涙目で
うなだれる姿もちゃんと選手たちには
伝わっています。

だから、それ以上、言葉の暴力を発する必要
なんてどこにもないんです。

ファンや仲間の力になる『言葉』

「頑張れ!」

「しっかり!」

「あきらめんなよ!」

選手たちにかける声はきっとファンが
自分にもかける声。

ファンも人生の中でいろんなことと
戦っている。

だから自分も頑張りたいし、諦めなくないから、懸命に選手を応援している。

「頑張れ!自分」

「しっかり頑張りたい!」

「諦めたくない!」

選手にかける声は自分へのエールとなって、自分に返ってきます。

選手がヒットを打ったらすごく嬉しい!
盗塁したらその果敢な攻めにワクワクが
止まらない。

ヒットエンドランで、泥だらけでホームに
滑り込みセーフになったら、
もう立ち上がって
隣と人と抱きついちゃいます。

きゃー!!やったあ!

そんなカッコイイ選手に歓喜の声をあげたら、
自分も明日の仕事がうまくいきそうな
気がします。

営業の仕事だったら、粘って攻めて、
新規の契約、取れそうな気がしますよね。

選手に自己投影するから、選手の頑張りを
みて、自分も頑張れるんです!

プロアスリートたちが、どれだけ壮絶な
練習をして、明日をも知れぬ不安定な
条件の中で、ふて腐らず、ただひたむきに、
自分が選んだ人生向けて突き進んでいるか、
を私は身近に見ています。

みんな真摯に、ひたすらに一勝でも
勝つために、わずかでも強くなるために、
人生のたくさんのものを犠牲にして
その競技に生きています。

だからこそ、

彼らをこれ以上追い詰める
言葉は、いらない。

負けたら隣のファンと一緒に泣いて、
勝ったら隣のファンと選手と一緒に
バンザイしながら、大笑いしましょう!

そんなファンもカッコいいなあ!

と思います。

みんな選手や仲間のメンタルトレーナーになれる!

私がメンタルトレーナーとして担当している
地元のサッカーのスタジアムで私は試合を
観戦させて頂きます。

サポーターの皆さんは、暑い中でも
寒い中でも、みんなで肩組み、飛び跳ねます。

どれだけ追い込まれてキツイ試合でも、
声をあげて最後まで応援し続ける
サポーターの姿にいつも、涙が出そうな
くらい感動しているのです。

選手の活躍のさらに何倍もその

「諦めていないサポーターの姿」

に心が震えるんです。

選手だってキツイ試合で

「馬鹿野郎!」

と言われるより

「頑張れ!信じてるぞ」

って言われた方が、モチベーション上がるし、
負けたら負けたで反省できますよね!

あなたの言葉で、もっと選手もチームも
隣の人も元気になれる、強くなれる。

きっとファンやサポーターも選手と一緒に
なって輝く存在になるはずです。