こんにちは、
プロフェッショナル心理カウンセラーの
浮世満理子です。
いよいよ冬ですね。
冬のスポーツと言えば、
スノーボードやフィギュアスケートなど
華やかなものがたくさんありますね。

私たちアイディア
ヒューマンサポートサービスでも、
スノーボードのトップアスリートや
フィギュアスケートの選手など多くの
メンタルトレーニングを担当しています。

フィギュアスケートの
メンタルトレーニング

12月にはフィギュアアスケートの
グランプリファイナル2017が
開催されることもあり、
この季節になると
いつもフィギュアスケートの
現場のことを思い出します。

今日はフィギュアスケートの現場から、
メンタルトレーングについてお話します。

もう数年前になりますが、
フィギュアスケートの全日本選手権に
メンタルトレーナーとして
同行して欲しいとご連絡を頂き、
急遽メンタルトレーニングが
開始されました。

選手たちは主にアメリカやロシアなど、
海外で普段練習や試合を
していることが多いため、
試合までの面談や
お話を聴くものに関しては、
携帯をつかったビデオ通話などで
行なっていました。

通常、メンタルトレーニングは最低半年。
長ければ長い方がいい。

本番前に、さっといって魔法のように
メンタルが安定するというのは錯覚です。
メンタルだって、
トレーニングしなけりゃ
しなやかに強くならない。

選手にはトレーニングの時間が
必要なのです。

私がフィギュアスケート選手を
担当していたのは5年以上前でしょうか。
今は世界で押しも押されもせぬ
世界チャンピオンである羽生結弦さんも
まだ高校生のころでしたから、
もうずい分前のような気がします。

当時はまだ、男子の中でも
4回転ジャンプを成功される人が
そんなに多かったわけではありません。
男子スケート選手たちはみな、
日本のトップを取るために
難易度の高い4回転ジャンプを
成功させることに
集中していたような気がします。

もちろん私が担当をしていた選手も
その一人だったわけです。
難易度の高い技を、
緊迫した本番一発のリンクの上で決める。

その難しさはやっている当人でないと
本当に苦しみはわからないものだな、

と思ったのを覚えています。

究極のメンタル

私は2008年以来、毎シーズン
五輪日本代表の体操競技の
メンタルトレーニングをしているので、
その繊細さと大変さは
少し似ている気がしました。

一瞬の集中力がきれたり、
力が入ると途端に、転倒したりする。

それだけ恐怖感があるのが
大技といわれる技術です。

まさに、跳ぶ勇気、、、ですね。

力が入ってもダメ、
入ってないとダメ、

この絶妙なバランスがまさに、
究極のメンタルトレーニングの
なせる技です。

その時初めて、
フィギュアスケートという競技を
担当した私は、他のスポーツとは
ちょっと雰囲気や感覚の違う
世界観を持ったスポーツである
ということを感じていました。

また全日本選手権という試合は、
選手にとっては
非常に大きな晴れ舞台です。

そこで、

いかにいつも通り
自分の力を発揮させられるか

ということ、、、

それにはどうすればいいかを
考えるところから、
私のメンタルトレーニングプランは
始まりました。

まず試合のことを知るのが大切。

どんな試合なのか?
選手にとっては、どんな意味があり、
何が嬉しくて何が嫌なのか?を
知る必要があります。

環境や人間関係が与える影響

テニスや他の競技でも同じですが、
全日本選手権は一種独特の
雰囲気があります。
世界中の試合を渡り歩く
トップクラスの選手でも、
地元日本となると古くからの人間関係や
知人も多くいるため、
試合前から結構忙しくなります。

つまり、試合以外のことに
心が奪われる要素が多くなるのです。
人間関係によって、心が左右されます。

選手は私たちが思う以上に繊細で、
細やかなことが
ストレスになったりします。
ましてや、大きな試合前の
ピリピリした神経の状態なら
なおさらです。

メンタルトレーニングの観点からすると、
どこの国に行っても、
小さな試合でも、

「あるがままの自分の演技」

を見せるというのは
本当に大切なことなのですが、
まだ若いアスリートにとっては
そうもいきません。

だからこそ、本番までの1~2週間に
メンタルトレーニングの時間をとるのは
とても大切で、

それまでにどれだけ
メンタルを整えて自分らしい状態に
持っていくかということが、
その選手にとっても
大切なキーワードとなりました。

日本のお友達と会うのが
決して悪いわけではないのですが、

どうしても試合の合間に
ご飯を食べに行ったり、
つい話が弾んだりして夜遅くなったり、

これでは全く試合に対して
集中することができません。

かといって、

久しぶりに日本に帰ってきたのに、
そういった事を全くしないというのは、
自分自身のモチベーションも
上がらないものです。

この辺りが、

自分自身が試合に向かう集中力
   と
自分自身が心癒される
コミュニケ―ション

このバランスが
とても大切になってくるのでは
ないかと思っています。

毎日、30分時間をかけて面談をしました。
私たちメンタルトレーナーと
会話をすることで選手が

「いま、何のためにここにきているのか?」

を思い出すきっかけになり、
試合前の緊張感を和らげるために、
必要以上にお酒を飲んだりする
逃避的行動に走ることの
抑制にもなるからです。

また、日本での大きな大会ともなると、
マスコミの方やファンの方への
対応もとても大切ですよね。

メディアの方は
少しでもいいコメントをもらおうと
色々なところでインタビューを取ろうと
申し込んで来られます。

もちろん鉄壁のマネージャーが
それを跳ねのけているという選手も
いるのですが、一般の選手にとっては
まだまだそのあたりの対応を
うまくこなすことができません。

つまりメディア対応としては、
全く相手にされないのも寂しいし、
かといってあまり褒められたり
注目されすぎると、
いつも通りとは言えない
メンタリティになってしまいます。

選手の中には、インタビュアーの
ペースで答えているうちに
どんどんと自分の考えていることが
わからなくなり、

なんだか混乱してきた!と
涙目になる若い選手もいます。

そんな時に、

気持ちを整理したり、
リセットしたり、、
ちゃんと大人として社会人としての
あるべき姿を柔らかくお伝えする事も
メンタルトレーナーの仕事の一つです。

フィギュアスケートは
とても紳士的なスポーツで、
笑顔で選手たちが観客に手を振ったり
マスコミの人に応えているシーンを
よく見かけます。

とても好感度の高い
マスコミ対応というのは、
私はスポーツ競技における日本の人気と
比例している一面があると思っていて、
選手たちには、常に笑顔で
マスコミやファンの皆さまに
応えた方がいいよと
アドバイスをさせて頂いております。

だけど、

自分自身が
いつも通りではない演技に
繋がっていては、
元も子もありません。

怖いことがあるならば、
いつも通りでない演技の場合、
多くの場合選手たちは
自分で気づかない事が
多いというようです。

それが目に見えない壁
みたいなものになってしまっていたり、
緊張しているつもりはないのに
ありえないところで
ミスがでたりするのです。

「いつもと同じ状態で実力通りの
 演技を選手がすること」

それがメンタルトレーナーに
課されている課題です。

具体的にどんなプログラムを使うのか?

は、また明日。