フィギュアスケートの
メンタルトレーニング

今回は具体的にフィギュアスケートでは
どういったメンタルトレーニングを
やっていくかをお話します。

フィギュアスケートは早いスピードで
氷上を滑りながら
ジャンプや回転など
優雅な演技を繰り返すというもの。

0.7秒から0.8秒という
短い滞空時間の中で
高速で身体を回転させたり

実際にジャンプをして
トゥートップと言われる部分で
蹴る力は200Kgにもなると
言われています。

そのスピードの中に
自分の身体をさらしながら
常に繊細で、わずかな角度や
力の狂いが許されない

非常に芸術的で
高度なスポーツと言えます。

それにはもちろん
体幹の力や筋肉の力など、
フィジカル的なものも
重要なのですが

脳で想い描いたイメージが
しっかりと身体の隅々にまで
伝わっていくような
イメージトレーニングも
非常に大切になります。

私たちの脳は身体を
こんな風に動かすという
指令を常に出し続けています。

運動分野の脳は小脳で
行われていると
言われていますが
小脳だけを
使っているのではなく

当然、脳全体の様々部位での
高度な連携が
複雑な演技を生み出し
美しい演技表現を創り出していく
という事になります。

つまり、、、

フィギュアスケートの基本的な
メンタルトレーニングポイントは3つ

フィギュアスケートの
メンタルトレーニング
3つのポイント

1 脱力誘導

繊細な力のかけかたや
脳からのイメージの命令を
手足のみならず全身の筋肉が
再現するとするならば

ミスが起こりうるのは
力が入り過ぎたところ

という事になります。

選手は自分でも意識せずに
力みが出てしまったり
ちょっとした緊張感で筋肉が
硬直するという事がよくあります。

つまり

力を入れる事に
意識を向けるのではなく

いかに力を抜いて
リラックスした状態で
氷の上でいられるか

という事です。

自分では力を
抜いているつもりでも
例えば太腿の
力だけ抜けていない

とか

肩に力が入ってしまうと
背中全体がこわばって
回転や優雅な演技の時に邪魔をする

という事があります。

他の競技にも言える事ですが
大切な事は脱力をするという事
常日頃から選手がトレーニングを
していく必要があります。

2イメージトレーニング
 イメージリハーサルを使う

イメージリハーサルというのは
一般的にアスリート達がよく
イメージトレーニングと
呼んでいるもので、
今こんな風に身体がなって
こういう風に動かしながら
表現をしていく

自分の身体と
今から行われる演技について
頭の中で映像化して
実現化していくものです。

脳というのは一度、
頭の中でイメージした事は
経験した事と同じと思い、
同じ動作や同じイメージをすると
同じ動作を再現しようとします。

つまり脳は
はじめての事は苦手ですが
2回目以降の事は再現しやすい。

何度も何度も
イメージしておく事が
とても大切になります。

ただ、ここでも独学で
イメージトレーニングをしてしまうと
思わぬミスが起こります。

それは何かと言うと、

演技そのものの
イメージはできていても
あの大きな大会や
プレッシャーがかかった中での
イメージをする事ができない。

もしくは間違えてしまうという事です。

場の力というのは、
ここでも使われます。

空間が持つ何とも言えない
圧迫感や選手の心の中にある、
ここはミスができないと思う
プレッシャーは強い緊張感となって
選手の脳にストレスを与えます。

その状態でしっかり
イメージリハーサルをしておかないと
リラックスした状態でできても
プレッシャーがかかった状態では
失敗するといった事がよくあります。

私たちメンタルトレーナーが
心がけているのは、
いつもプレッシャーをかけた
イメージをつくりだし
その中でイメージリハーサルを
行うという事をしているわけです。

3.リカバリーに備えるトレーニング

フィギュアスケートや
体操でよくみかけますが
大きなミスをしてしまった後に、
そこがなかなか回復せずに
2回3回と転倒を繰り返したり
ミスが続くというのを
御覧になった事はありませんか?

フィギュアスケートは
とてもメンタルなスポーツだと思います。

神様ではない限り、
小さいミスや
あ、しまったと思う事は
私たちにわかる、
わからないは別として
よくある事です。

ところが
一連の動作になっている場合、
あ、しまったとミスをした時に
頭が真っ白になってしまって
という状態では
今、どんな演技をしているか
全くイメージがつかず
次々とミスを繰り返していまいます。

つまり選手の本当の強さというのは
ミスをした、その時に出てきます。
ミスをしない選手などいない。

だけれども、ミスをした後の
リカバリーが大切という事を
しっかりと理解をしていれば、
常日頃から、
このミスをした後の演技の練習が
強化されていくのだと思います。

練習中でもうまくいかなかったり
ミスをしたところで
一旦練習を止めてしまったり
演技を中断してしまうと
ミスへのリカバリーの練習が出来ません。

ミスをしても最後までやり切る

という事を

常日頃から練習の中に取り入れていくと
そこでのリカバリーメンタルというものが
確実に強くなり大きな本番でも
トータル的には高い得点を出す

そういった
タフなメンタルがつくっていけるのです。

では大きな試合直前、
フィギュアスケートの選手達が
どんな様子で過ごしているのか
次回はそこを、お伝えして
いきたいと思います