癌でなくなった彼の最期の言葉をどう聞くかというと、仕事の成功と愛のある人生を比例する必要なんかないのにな、って思う。成功したから病気になったのでもないし、仕事をしていたから愛を感じられなかったわけでもない。
癌になる時はどんな人でもなるし、どんなに仕事で忙しくても愛は育める。あえていうなら、なんでも手に入れた人は、命を手に入れないことに戸惑いがあるのかな?と思う。だけどそれは秦の始皇帝の頃より繰り返される成功者の勘違い。
残酷な死神はその勘違いを許さない。
今、癌になった身として改めて思う。
「仕事楽しかったよ、わくわくしたよ、ステキな仲間に囲まれて、病気になっても見捨てない家族がいて、泣いてくれるファンがいて、僕は世界一の幸せ者としてこの世を後にする。あとは任せた。僕はしばらく星になってのんびりするよ」ってそう言って去ってほしいし、私もそうありたいと願う。
だけどね、、弱気になる、泣きたくなる、叫びたくなってすがりたくなる。
子供みたいに死神が怖くなる。
だからつい後悔の言葉も口から溢れる。それもわかる。癌になった身としては。