心理業界ひろしといえど、志村けんさんの番組に出演させていただき、下手な小芝居までした心理カウンセラーは私だけなのではないか?というのは、笑い話で語るちょっとした自分の中の喜びでした。

志村けんさんに心から敬意を込めて、お仕事ご一緒させていただいた時のお話をさせてください。

確か、志村けんさんと優香さんの人気番組の特番でした。たくさんの芸能人が出ているスペシャル番組でおそらく、ワイワイと心理ゲームをやって盛り上がろう!という企画なのです。

たしか、志村さんと優香さんは夫婦でお店をやっている設定。お客様が堺正章さんや梅宮アンナさんほかたくさんの有名芸能人の皆さま。


さあ、そこに、どうやって心理カウンセラーを登場させようか?スタッフも悩んだのでしょう。


「まずは、浮世先生が交番に来てハンカチの落とし物をしたので、それを届けにお店に行くという想定で、、」


なぜ、ハンカチ?なぜ交番?突っ込みどころは多々あるけれど一番は「いやいや
私お芝居なんてできません!お芝居セットになんか入れません!私、素人ですよ‼️」というのが一番のツッコミ‼️


だけど、それをなんとか実行してしまうのは、番組の皆様の器の大きさというか、偉大さというか、、、。


スタジオに行ったらもう、そういうお話になっていて、しかも台本もできていて、、、改めてテレビの現場でのスタッフさんの人間力すごいなーと、、。


結局「すみません、ハンカチを落としたんですが、、」と志村さん相手に学芸会以下の恥ずかしい芝居姿を演じた、心理カウンセラーなのでした。


そのままの流れで志村さんのお店に行き、なぜか「せっかくなので心理カウンセラーの先生にみんなで心理テストでもしてもらいましょう」というところから、みんなでアートセラピーをしたり、心理ゲームをして楽しんでいただきました。


いやー本当に不思議な体験でした。


スーパースターの方が主演の番組では、時にはピリピリする雰囲気があったりするのですが、志村けんさんはつねに、ニコニコ微笑みながら(笑うというよりニコニコ、、という印象)一緒に心理ゲームを楽しんでくださいました。


普段は、テレビで見ていた志村さんの番組のセット裏でスタンバイしていた時に「私なんでここにいるんだろう、、」と不思議と人生を振り返ったことを、本当に昨日の事のように覚えています。

笑いが免疫力を上げる、笑いは鬱を改善する、というのは本当です。

これは私のクライエントから聞いた話ですが、もう生きる希望がなくなって、人生の最後に笑ってから死のうって思って、お笑いの舞台に入ったら、それが終わったら生きる力が湧いてきた、と。

それだけ人を笑わせるというのは、時には命すら救うのだなと確信していました。世界中が不安と恐怖にさらされる中、今こそ、部屋の中で志村さんの笑いが免疫力を上げ抗鬱効果を上げてくれるものと信じていました。

きっと、その使命は多くのお笑い芸人の人たちやエンターテインメントのアーティストたちが引き継いでくれるのでしょう。彼らも今回の状況では1番の被害者でありながらもきっと頑張って、私たちのメンタルに生きる力をくれるのでしょう。

心から敬意を込めて、しばらくは志村さんの作品を観たいと思います。途中で泣くなら泣いたでいいセラピーになり、笑えたら笑えたで抗鬱効果があるでしょう。そして、みんなでチャットでやズームで志村さんを語りたい。

それが私たちにできる1番の喪の仕事。
私たちはこの喪失感を、明日を生きる力に変えて彼からもらえたものをけっして忘れずにいたいと思うのです。


明治通りの桜は今、恵比寿から広尾が満開。お見送り日にその美しさが切なさを感じさせてくれました。