マイノリティサポートと企業の生産性について(後編)

まず一点は、多様性というものは、
大企業の中では比較的新しい概念でも、
中小企業や個人商店では
すでにそれらのことを実証して
実現したということ、
また製造業ではなく、
サービス業や教育産業など、
人を基盤としていたところでは
製造業よりもそれぞれの個性や
その人らしさというものが
仕事の仕方に大きく反映されている
ということです。

多様性を受け入れている中小企業

中小企業ではすでに
シングルマザーや外国人労働者、
あるいは多くの家庭や
プライベートに問題を抱えた社員などを
包括し、それをうまく束ねていく
経営者などがおり、
それらが社会的に
ある一定の成果を出しているとも
言えます。

ですから多様性はすでに
日本の企業の多くを担う
中小企業の中では
行われていた事です。

それらの特性を生かした上で、
これからの大企業は
女性や外国人留学生、
労働者、そして障がい者など
多くの生活的な課題を
抱える人達へのアプローチが
必要となっていくと思っています。

二点目は、この心理的安全性と
礼儀や序列などといった
日本独自の文化に基づくものとの
バランスです。

年長者を重んじる文化

例えば日本では年長者を重んじ、
先輩を重んじます。
これは儒教の影響が
あるわけですけれども、
「三歩下がって師の影を踏まず」
などといった
奥ゆかしさや年長者を立てていく
というような
文化背景と心理的安全性は
必ずしも一致するものではないと
言えるのです。

つまり言いたいことを言い、
自由に先輩や上司に向かって
気軽に軽口をたたけるような
個人主義を尊重された
アメリカの文化とは違い、
日本では後輩だからとか
若輩者なのでという
日本のよき心づかいの文化が
心理的安全性を自分から
狭めてしまっているという事に
なってしまいます。

私自身は組織の中である
一定の礼儀や心づかいと言ったものは、
非常に大切な組織の強さでもあると
思っています。

ですからその中でも
最近は若い社員においての
課題点としては、
マナーは守れるけれども礼儀がない、
とかそういったことに尽きてきます。

礼儀 感謝とお詫び

礼儀がない事の表れとしては、
お詫びがきちんとできない、
感謝の気持ちが表現できないという
二つがあります

特にしっかりとお詫びができない
というのは今の社員達の総じて
メンタルの弱さに繋がっている
ところでもあります。

日本の社会では
まだまだしっかりと
お詫びができなければ
叩かれてしまったり、
クレームが大きく
発展してしまうという
観点があります。

バランスが問われる
日本的な心理的安全性

心理的安全性がありながらも、
顧客に向かってのサービスや、
社内で求められる
結果のクオリティのゴール設定が
非常に高いのが、
グーグル社などでの
生産性の高さを表しています。

しっかりとした礼儀、
場所や相手をわきまえた
コミュニケーション、
そしてそれらのベースとなる
人間的な心理的安全性というものの
バランスは今後日本の組織において
非常に大切なキーワードと
なってくると思います。