この事件、解離性同一性障害(いわゆる多重人格)としての可能性もとても高いように感じているのですが、実際にはどうなんでしょうか?
もちろん私は単なる心理カウンセラーなので学術的なことはわからないのですが、今までのカウンセリングの経験からしても解離性同一性障害のクライアントは虐待経験から発症することも多く(そしてそれを覚えていないことも多い)ほぼ全てのクライアントが強い攻撃性を持っていました。
そして記憶をなくす(実際には別人格が行動しているから覚えていない)言っていることのつじつまが合わない、などは典型的な症状の様な気がします。
また解離性同一性障害は本人も意識できていないこともあります。私のクライエントも本人はよくわかっていないのですが、家族がカウンセリングに連れてきたりもしています。
1990年台後半に、いわゆる多重人格として社会的にも取り上げられると、クライエントは一気に増えました。
日本ではオカルトチックなドラマなどはあっても(そしてほとんどがクライエントの助けにはならなかったイメージ)具体的なカウンセリングケースや対処法がほとんど読み物としてなかったので、精神科医の先生にご相談したり、アメリカのカウンセラーやドクターに指導してもらいながら日々カウンセリングに当たっていました。
だから今では、解離性同一性障害ってわりとメジャーなものだし、なんとなくみんなが知っているものと思ってしまっていましたが、全ての事件に関わる検察や弁護士さんはこれらのことをご存知なのか?がこの事件の記録を読んで疑問に思いました。
精神鑑定もされているし、精神科医も関わっているので当然解離性同一性障害が疑われてもいいのでは?と思いましたがこの文章を読む限りではその件は出てこない。
我が子をネグレクトしたあげく殺した犯人には全く同情できませんが、虐待加害者の中には精神疾患を抱えている人も多いのかもしれないという疑念が込み上げてきたのも事実です。
また精神疾患があるからなんでも無罪というのも違う気はしています。自分を見失ってよくわからなくなるような場合とサイコパスなようなケースは明らかに違うと思いますし、、。
難しいですね。だけど心のことをみんなが学ぶことで、そしてそれらを人との関わりや地域のコミニュケーションに反映させることによって少しでも、犯罪や虐待を防止することができるのならば、全国に広がるプロフェッショナル心理カウンセラーたちの役割は、まだまだ大きく広がるのだと感じています。
また来年、今の時代にあった犯罪心理のプロジェクトを立ち上げていこうと思っています。
日々変わる人間の心のありようをしっかりと直視し、社会から目を逸らさずに、研鑽を重ねるのが、実践派の心理カウンセラーにとっては何よりも大切なことだと思えるのです。