心理カウンセラー・メンタルトレーナーは言葉を扱う仕事

心の奥深くに届く言葉とは

言葉を扱う仕事をしている。

心理カウンセラー、メンタルトレーナーという
仕事をしていると

『 言葉 』

というものに、とにかく意識が向きます。

正しい日本語とか国語というのではなく、
私がいつも探し求めているのは

「心の奥深くに届く言葉」 です。

多少、正しくなくても、訛っていても構わない。
心に深く届かないとダメ。

全力をかけて探し出した一言で人の心が動く

心理学を学んでいると一応の
「相手を受け入れる言葉」なるものは勉強する。

だけど実際の相談業務ともなると、
上っ面のキレイな言葉では全く通用しない。

相手の事を理解しようと
全身を耳にして相手の言葉を聞き、
自分の全力かけて探し出し、
ようやく一言生み出した「言葉」

そんな言葉でしか人の心は動かないと思っています。

『 君の名は。』に限らず新海誠監督の作品は風景だけでなく、
言葉がとても美しくて、心の深いところにどんどん浸透してきます。
そこはまさに「自己投影」ですね。

主人公が語り、叫び、カタルシスが生まれる。

「ずっと何かを探している。」

これは君の名は。の冒頭に出てくる言葉ですが、
ここでまずうん、うん!と、頷いてしまいます。

どんな人でも、何かを探している一面はあるわけで、
いきなり心に深く入ってくる。

私は何を探しているんだろう?

仕事?愛?人生の意味?

ここで普段意識しない自分の内面に意識が向く。
言葉が私たちの、心をこじ開け、日常にまみれた
感じから一気に内面の深いところへ。

「こんな生活もう嫌やぁ!来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!」

思ったことありませんか?
こんな生活もう嫌やぁ!と(笑)

この物語では、三葉が田舎の抑圧感、
面倒くさい人間関係、そんなものから解放されたい!

と、叫ぶシーンですが、
「こんな生活もう嫌やあ!」のそんな感覚は誰にでもある。

  • 「満員電車の生活もう嫌やあ!」
  • 「忙しい仕事もう嫌やあ!」
  • 「わけわかんない上司もう嫌やあ!」

叫びたい!だけど叫べない。
泣くのと同様、叫びたいのに大人は、
どこででも叫べないものなのです。

だから、登場人物が叫んでくれるとホッとする。

主人公が叫んでくれる言葉が自分たちに
近ければ近いほど、そこでカタルシス(浄化)作用が
生まれますよね。

映画の中の好きな登場人物入ってもしかしたら
自分の言いたいことを言ってくれる人、
代わりにしてくれる人なのだとしたら、、。

そこに、自分の本当に望んでいる生き方が
隠れているのかもしれませんね。

ここじゃない、これじゃない。から出会う道

「まだ、会ったことのない 君を探している。」

この物語に常に出てくる言葉。
自分の中にある満たされない
想い、不安、言葉にできないもやもやした感情、、、。

私のいる場所はここじゃない、
私の心の友はここにはいない、
私のしたいことはこれではないかもしれない。

そう気づくことはネガティヴなことだけではありません。

私は、会社員時代に、鬱や自律神経失調症になったのが、
心理カウンセラーになったきっかけ。

あの時の私は確かに毎日、

「ここじゃない」
「この上司じゃない」
「この仕事をするために生きてきたのではない」

と、思っていた。
と、いうか、最初は幸せなふりやこんな程度しか
求めてはいけないと思って諦めて妥協していたのに、
ある日突然気づいてしまったんです。

「ここじゃない。これじゃない」って。

つまり、「まだあったことのない「君」」ではなく
「まだあったことのない「自分自身」を探していた」のです。

そんな人多いんじゃないかな?

今も昔も同じ、変わらない。みんな自分を探して
居場所を探して、心の絆を探しているんです。

私は、そこに気づいたけどどうしたらいいかわからなくて、
「病気という形で、身体を壊してしまう」ことで
自分の時間を無理矢理止めて、世間とか、周囲の人の
非難みたいなものから逃げて折り合いをつけようとした。

苦しくて、つらくて、絶望的な毎日だったけど、
そこから、心理カウンセリングに出会い、
そして心理カウンセラーになった。

言葉をいつも探している

心理カウンセラーになると、言葉をいつも探している。

「もう生きていたくない!」というくらい孤独に苦しむ人に、
届くその心の渇きを埋める言葉はなんだろう?

「イライラしてもう1日も我慢できない」

という人の心を潤すホッとする場所になるはずの言葉は、
なんだろう、、、。

自分のすべての頭をフル回転させて懸命に「言葉」を探す。

キレイな言葉、、ちがう。
前向きな言葉、、これもちがう、、。
わかったような言葉、、これもウザったい!

相手にかける言葉が浮かんでは打ち消し、必死で探す。

そして、一言。

「そうだね、、その気持ちも、、アリかもね、、」

というとても平凡な言葉だけしか出てこないこともあり、
それが正解だったりもする。

自分の中に言葉を溜め込む。
人の心に届く言葉、
人の感情に染み込む言葉。

上っ面じゃなくて、ありきたりじゃない言葉。
いい作品は本当に言葉も深くてグイグイ
染み込んできますよ。

「それはまるで夢の景色のように、ただひたすらに美しい眺めだった。」

美しい彗星がその後の大惨事の風景に変わる
その直前に主人公がもらしたセリフ。

その残酷さに涙があふれた。
美しくて無邪気な言葉ほど残酷だったりすることもある。

心に届く言葉は、本当に本当に奥が深い。
映画を観終わった後、あなたはどんなセリフを覚えていますか?

新海誠監督作品の素敵な癒し効果、まだまだ語ります。
次は二週間後くらいかな?アバウトですが、、

次は「言の葉の庭」と「秒速五センチメートル」です。